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first.
『羅針盤がなかった彼らのお話をしよう。』
頭痛が彼らの出逢い。時として、悪が悪いとは限らなく、正義が正しいとは限らないくなる。悪が正しく、正義が悪くなってしまうときもあるのだ。そもそも正義とは、悪とは―――
否、彼らの物語に戻ろう。
つまり彼らは、今まで悪と思っていたことにより出逢った訳であり、悪が正義となる瞬間にも出逢った訳である。
だから彼らは、
頭痛を疎ましく感じることなど、
もうない。
それはさておき、さくらが真っ白の部屋にさらさらと落ちていた。窓を開け放ったのは、誰であったのだろうか。
真っ白のベッドの上に、
さくらの花びらと、
少年がいた。
「―――こんにちは」
「こんにちは」
世界は変わらず、
社会は気付かず。
ただ、さくらの木が保健室の窓から垣間見ただけの。
それが人を愛さないと誓った彼らの邂逅。
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