第1話

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幸哉と別れてから僕は掲示板に向かって歩いていた。休講情報を確認するためだ。 その時、校内放送が流れた 『生徒の呼び出しを致します。三回生、田川綾斗君、田川綾斗君、至急学務科まできて下さい。』 うっ…またなんかやってしまったかな… 内心かなり動揺した。学務科には普通の生徒より呼ばれる率が高い。申請の記入漏れや、提出物の期限越えなどでだ。 急いで行かなければ。 方向を変えて学務科に向かって小走りで急いでいると、ゼミで同じの女子学生と、すれ違い、呼び止められた。 「あー!田川君、呼ばれてたねー。私今さっきまで学務科でレポート出してたんだけど、田川君、財布落としたでしょ?」 半分笑いながら呆れたように言われる。 綾斗「………あ!講義室に置き忘れたかも。」 「えー!?気を付けなきゃだめだよー(笑)さっき男子学生が届けに学務科に来てくれてたよ。ちょっと怖そうな人だったけど。多分それで呼ばれたんじゃないかな?」 綾斗「えぇ!?ほんと?だから呼ばれたんだぁ。ごめんねぇ、教えてくれてありがとぅ。急いで行ってくる。」 「ぁ、それと田川君、今度のゼミの飲み会、参加してよ。まだ全員揃ったことないから、今度は絶対皆揃えるんだって先生意気込んでたよ(笑)」 はぃ…僕のせいです…。 すいません、先生。。一度も参加しない僕がいけないんです。。。 綾斗「ぅ、うん、考えとく。ありがとぅ」 女子学生にお礼を言い、急いで向かう。 財布かぁ…これで二度目だ… バイトの給料が入り、貯金しようと、思いお金を二つの財布に分けて学校に持って行き、帰りに銀行に持って行こうとしたら、片一方の財布がなくなっていたことがある。 5万円入っていたこともありとても辛い経験だった。 また、あの経験を再びするところだったとは… 自分の愚かさを反省しながら、学務科のドアを開けると、いつものことながら呆れた顔の職員さん達がお出迎えしてくれた。 いたたまれない… 職員「…田川君…」
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