第1話

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ひとしきり職員さんのダメだしを聞き、重い足取りでトボトボと歩いているとき、ズボンのポケットに入れていた携帯のバイブが鳴った。 今風のスマートフォンではなく、僕が持っているのはパカパカ携帯、つまりガラケーだ。機械に弱い僕はあんなスマートフォンみたいな最新機器を扱えるはずがないと自分で思っていたので、大学に入学するとき、スマートフォンにした方がいいですよ。というSHOP店員さんの言葉を押しきり、ガラケーを選んだ。 だから、皆が便利だというアプリを取ってやりとりしたりはできない。幸哉は「早く変えろや~、俺が教えてやるって」と言ってくれるけど、しばらくは愛着もあり変える気はない。 メールは幸哉からのものだった。 ≪今どこ?逃げないって言ったじゃん。オコだぞー(笑)≫ …オコ…?オコってなんだろ? ぁ…掲示板にいるって言ってたんだっけ…。 呼び出しの放送、食堂うるさいし聞こえなかったのかな? とりあえず返信しなくてはと、急いでメールを打ち返す。 ≪ごめんm(__)m呼び出し受けてた。いまから掲示板のとこに行くね≫ 僕は携帯をしまうと、掲示板に向かい走りはじめた。
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