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しばらく僕と八重は、森や川で戯れた。
六月の水はまだ冷たく気持ち良かった。
青く茂った木々。
澄んだ空気を、全身に取り込む。
清々しい。
久々に思った。
今の今まで、水が冷たいとか、風が澄んでるとか、思える余裕がなかった。
和音の事や、僕自信の事。
「和音……」
小さく弟の名を口にして、思い出した。
忘れかけていた本題。
昨日も森にいたという八重なら何か知っているかもしれない。
夜中だから判らないだろうけど。
小さな望みを託す。
「八重、あのさ」
言い掛けて、止まる。
大きく息を吸い、吐く。
「昨日の夜中、えぇと……」
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