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「あ!! そうだよ瞬!! 崖から落ちちゃうからびっくりしたよ!!」
「え……?」
どういう事だ?!
八重はあの場にいたのか?!
「手を伸ばして掴んだのはいいけど、耐えられなくて一緒に落ちちゃった」
全身の血が引くのが判る。
頭の中が真っ暗になって、八重の声だけが響く。
「よかった。瞬が無事で。でも少し記憶がごちゃごちゃになっちゃったんだね」
「なんで……」
「瞬?」
「なんで……、助けたんだ……?」
一気に溢れてしまいそうな感情を、ギリギリのところでせき止める。
本当は「何故助けたんだ」と、怒鳴り散らして喚きたい自分を抑えるので精一杯だ。
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