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翌日退院して、また森へ入った。
僕が「生きている」理由を探しに。
何故無事だったのか、知りたい。
下を向きながら、ザクザクと進む。
ふと、足元の色が変わった。
僕の足元を彩る、淡い桃色。
「さ、桜!? なんで……!?」
今はもう六月だ。
遅咲きの桜も散る時期。
狂い咲き……、だろうか。
花に詳しくないから判らないが、そういう品種だろうと、無理矢理納得した。
「瞬?」
木の影に、人が立っている。
逆行に曝されて、顔がよく見えない。
「瞬!!」
勢い良く駆けてくる、長い髪の少女。
「な……っ!?」
首に手を回し、擦りよる少女。
顔を上げ、真っ直ぐな視線を放つ。
「おかえり、瞬」
少女は優しく笑った。
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