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「そうじゃない……、けど」
「けど?」
考えろ僕!!
飛び降りて無傷だった謎より……、これだ!!
「昨日崖から落ちて……、少し……き、記憶が混乱しているんだ」
少女は僕の襟を掴み、精一杯背伸びをして顔を近づけ、
「私の名前は? 忘れたの?」
不安気に訊く。
「悪いけど」
あまりそうは思わないけど。
哀し気に表情を曇らせつつも、
「八重。八重だよ瞬」
「八重……」
「今度忘れたら首ちょんだからね」
満開の笑みと共に咲いた言葉は、赤く染まっていた。
「はい……」
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