捜索開始合図。

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「…懐音さん」 後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。 ふんわりとした、それでいて棘がある、ソプラノの声。振り返るとそこには天文学部の血筋の特徴、生まれながらの白髪が目立つ少女が立っていた。 「…なんだ、蘭芽か」 「なんだとはなんですかー!」 風原 蘭芽(かぜはら らんめ)。天文学部のお嬢様であり、私の唯一の女子の友達。短いポニーテールを目立たないゴムで結ぶような、何処にでもいるような女の子。 「懐音さーん?今日は午前中居ませんでしたけど何があったんですか?やっぱりサボりですか?」 「いやいやッ!?『やっぱり』って何!?その『いつでもサボってる』っていう前提は何!?そんなに『あー今日生きたくないわー』みたいな顔してます!?」 相手側に悪意が無いので責めるにも責めにくいところがある。その証拠に彼女はさっきからずっと…いいやいつも…笑顔だ。 「だって懐音さん、授業中は寝てるじゃないですかー。毎日サボりみたいなものですよね?」 「…否定できない」 深夜はネットで電気学部の奴と通信ゲームを競っているので寝る時間が授業中しか無いのだ。許してくれ先生…。
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