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『愛川って噂に聞いてたけど全然だねぇ』
『弱いじゃんあいつ』
『さっきからサーブも乱れてるし』
ーー・・・なんだよ。
コートを見れば、苦しそうな表情でサーブをはなっている愛川の姿。
違うだろ。
入学当初に見たお前のサーブは、息を飲むくらいだったのに。
階段を一気におりて、観客席の柵を掴む。
「愛川っ!!」
とんとんとボールを弾ませていた愛川の瞳が俺をとらえる。
このうるさい会場の中
愛川に届いた
「てっめぇなに情けねぇサーブ放ってんだよ!!
お前はそんな弱くねーだろ!!
負けたらぶっとばすぞ!!」
さすがに俺の声も限界で
っていうか人に見られることも限界で
それでも愛川から目線をそらさない
愛川はテーピングの巻かれた左手でボールを宙へと放つ
一拍おいて
バンッ
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