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また1回も繋がっていないのに、彼の手と舌だけで軽くイってしまった私。
完全に火照ってしまった身体は、まだじんじんと余韻を残している。
それなのに休む間もなく彼は、私の身体を俯せにさせる。
四つん這いになると、そこに後ろから抱きしめられるように私を包み込む温もり。
そして囁かれる甘い言葉。
「もっと先に……進みたいか?」
「ちょっと、待って……」
「待つわけないだろ。あんなに荒れた姿見せられて、こっちも我慢の限界。」
訊いてきた割に、私に選択権など最初からなかった。
そのまま腕を引かれて後ろから何度も突かれ、それに合わせて部屋中に響き渡る卑猥な声と、身体をぶつけ合う音。
「これでもアンタは……他の男のこと、考えられる……?」
その質問に、大きく首を横に振った。
考えられなかったから。
忘れられない人の面影を抱きながら、その寂しさを埋めるために他の男の人と身体を重ねるという話は聞くが、私はそういう風には考えられなかった。
目の前にいるのは裕樹ではないと自覚している。
私を今ここで抱いているのは、葉山課長だということも。
彼は裕樹の代わりなどではないことも。
そして今、私は――――
この人に身体の隅から隅までを食い尽くして欲しいと願う。
それはこうして身体の関係から生まれてしまった、今までとは違った情なのか。
それとも一夜限りのものなのか……。
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