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葉山課長の態度は、いつもと何ら変わりない。
それはここが会社だという節度を持っての行動なのか。
それとも彼にとって一夜限りの火遊びは、日常茶飯事なのか。
素面の今は、単刀直入なことは訊けない。
「……湿布、剥がしたんですか?」
「まあ……クライアントと会うから、これくらいはね。」
1時間前まで、彼の頬に貼られていたはずの湿布が姿を消していた。
たった1時間で剥がすのなら、最初から貼ってくるなよ……。
これはどう考えても嫌がらせ決定だ。
「それにしても、人を獣扱いしないで下さい。」
「獣だろ。あんなに積極的な女、久しぶりに見たわ。」
「なっ……!?」
反撃を試みようとしたものの、呆気なくそれは失敗する。
それだけならまだしも、私の心を惑わせるようなことを、彼はわざと口にしてくる。
この男……真性のドSと見た。
「恥ずかしがる奥手な女の子も可愛いけど……俺はあなたみたいなタイプ、嫌いじゃないよ。」
「……。」
「でもまさか、この橘係長がねぇ……脱いだらあんなに凄いことになるなんて……」
「よ、余計なことは言わないでください!!」
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