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翌朝、窓の外から小鳥の囀りが聞こえてくる。
きっと今日は清々しい秋晴れだな……。
ベッドに頭を乗せた状態で座ったまま眠ってしまったらしく、身体中がだるい。
今日の予定は、全身マッサージに直行だ。
目を覚ますと、すぐそこには静かに寝息を立てている葉山課長の姿。
そっと額に触れてみると、数時間前までの熱さは感じられなかった。
驚異の回復力だ。
すっかり効能を失った冷えピタを剥がしていると、閉じられていた目蓋がゆっくりと開いた。
「……気分はどうですか?」
「……。」
「熱っぽさ、少しはマシになりましたか?」
心配して訊いているのに、彼は訝しげに私を見つめてくる。
そしてついには、信じられないような言葉を吐いた。
「……どうしてあなたが、ここにいるんだ?」
「どうしてって……」
もしかして、熱に浮かされていた時の記憶……失くしている?
確かに、普段では考えられないような言葉や態度ばかりで戸惑ったけれど……。
感謝はされても、そんな明らかに怪訝な顔をされる覚えはないっつーの!
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