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「まさか、不法侵入したんじゃ……」
「してないし! つーか、あんたが呼んだんでしょうが!!」
「……俺が? まさか。」
「……嘘だと思うなら、携帯のリダイヤルでも確認して下さい。」
私の言葉に、彼は枕元に置いていた携帯に手を伸ばす。
私も自分の着信履歴を検索して、夜中の1時半ごろに課長から連絡があった証拠を示した。
「……あ、本当だ。」
「……。」
どうやら、本当に無意識のうちの行動だったらしい。
それでもまだ、自分の行動を認めようとしない彼に、私はここに至る経緯を事細かに説明した。
やたらと甘えてきたことだけは、気まずいので秘密にしておいたけれども。
「……そっか。でも、どうしてあなたに電話したんだろ……?」
「それは私が訊きたいくらいです。
それにしても、あんな夜中に死にそうな声で電話かかってきたら、誰だって心配になりますから。もうやめて下さいね。」
「……悪かった。もう大丈夫だから。」
私を振り回したことを反省しているのか、いつもの覇気は感じられない。
それでも顔色はいつもと同じだし、意識もちゃんとしている。
もう、大丈夫かな……。
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