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「……マッサージ。」
「……色気なさすぎだよ、オネーサン。若い男が誘っているのに、それはないだろ。」
「……。」
予想通りの回答だ。
この件に関しては、課長には全く期待はしていなかった。
しかし彼は考え込むような表情をしばし見せた後で、予想を超えた提案をしてきた。
「じゃあ、お勧めのマッサージ行く?」
「はい!?」
「近くに美味しいパンケーキの店もあるけど。御馳走するよ。」
「パンケーキ!?」
パンケーキという言葉に、見事に釣られてしまった。
雑誌やテレビで紹介されているのを見るたび、いつか食べてみたいと思っていた代物。
実際は行列に並ぶのが面倒で敬遠していたので、なかなか行動に移せないでいたのだ。
「ふっ……仕事中も、そんな顔していればいいのに。」
そう言いながら私を見つめる葉山課長は、とても優しい顔をしていた。
こういう話の流れで、貴重な休みにも関わらず、課長と過ごすことになってしまった私。
それはそれで面白いかもしれないな、と。
この時は暢気に考えていた。
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