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「もしかして、浮気相手のところ?」
「……放っておいて下さい。」
「……あなたの意思で会いに行くなら止めないけどさ。さっきも言ったけれど、自分をもっと大切にしろよ。」
「大切にしているから……会いに行くんです。」
「……。」
「彼の温もりの中だけが、私が無条件で甘えられる場所だから。」
そこまで言い切るのなら別に構わない。
俺には関係のないことだ。
でもその選択は……いつか自分自身を傷つけるよ、オネーサン。
「わかった。あなたがそこまで言うなら俺は余計な口を挟まないよ。
ま、調子に乗りすぎて腰を痛めないようにしてクダサイ。もう若くないんだから。」
「なっ……!? 大きな御世話よっ!!」
最後に冗談を交えると、彼女は顔を真っ赤にしながら強気に返事をしてきた。
うん……。
やっぱりこの人は、これくらいの元気があった方が良い。
『男』に会えることが余程嬉しかったのか、彼女は頬を綻ばせていた。
俺は彼女を駅まで送り、その足で sky village へと向かった。
理由なんてない。
それは、ただの気紛れに過ぎなかった。
しかし、それが ―――
今夜の俺を、完全に狂わせた。
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