22902人が本棚に入れています
本棚に追加
.
本当は、やめないで欲しいくせに。
言葉は強がっていても、身体は嘘を吐けない。
完全に俺を受け容れる体制が整い始めている。
執拗に細部を刺激すると、彼女は大きく身体を動かしてイってしまった。
俺を見つめる瞳が虚ろな涙目。
もっと俺を求めているのだと、すぐに分かった。
「もっと先に……進みたいか?」
「ちょっと、待って……」
「待つわけないだろ。あんなに荒れた姿見せられて、こっちも我慢の限界。」
その潤んだ瞳に隠れた要望にすぐに応え、俺は自分の身体を彼女に何度もぶつけた。
それこそ、俺のほうが腰を痛めるのではないかという程に。
「これでもアンタは……他の男のこと、考えられる……?」
その質問に、彼女は必死に首を左右に振りながら答えてくれる。
彼女の感じている表情が、眠っていた男の性を刺激する。
可南子が亡くなってから、すっとしていなかったわけではない。
俺だって男だから、我慢できなくなる時もある。
そういうとき、後腐れのなさそうな相手を選んで、一夜だけの関係を持つこともあった。
この人とも、そういう関係になるのだろう思っていた。
お互いの寂しさを紛らわすために。
けれども、彼女を抱いていると、他の女とは少し違うものを感じてしまう。
理由は分からないが、彼女が響かせる甘い声に、胸の奥が痛いくらいに熱くなった。
.
最初のコメントを投稿しよう!