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「まるで……別人だね。」
「え……？」
「会社でのあなたからは、あんなセックスするような人だとは想像できない。
それにベッドの上では、こんな風に甘えてくることも知らなかった。」
予想外も甚だしい。
終わったらすぐに帰る支度を始めるとばかり思っていたのに、彼女は俺の身体にそっと寄り添うようにして横になっている。
そんな彼女が、少しだけ愛おしく思える。
「……甘えることが苦手なんです。仕事ばかりしている３０代の女の大半は、そうなっちゃうんです。
自分で生きる術を手に入れないといけないから、可愛げなんてとっくの昔に捨てちゃいました。」
「……。」
「でも、たまにはこうして誰かに思いきり甘えたいんです。人間ですから。」
「……充分、可愛いと思うけど。」
「え……？」
「だから、あなたの……こういうところ？
他の人には見せてくれない一面、自分だけには見せてくれるって。男からしてみればそんな特権、嬉しすぎるものでしょ？」
こんな可愛い姿を、この人は会社で絶対に見せないだろう。
彼女に恋愛感情はないが、他の人は知らない彼女の一面を自分だけが独占できていると思うと、少しばかりの優越感に浸ってしまう。
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