偶然の再会

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. 今、彼女は俺に素の自分を曝け出してくれている。 そして俺はそれを受け容れている。 彼女のことは嫌いではないし、彼女とこうしていることに抵抗もない。 お互いに寂しさを埋められる一時的な関係、そう割り切っているのであれば、こういう繋がりを持つのもひとつの方法だと思った。 所謂、オトナの関係。 彼女に新しい男が出来るまでの……。 「ねえ、ひとつだけ訊いてもいい……?」 「どうぞ。」 「どうしてあなたは……私を、抱いてくれたの?」 「……理由なんてないよ。男が女をたまに無性に抱きたくなるのは本能だろ? そこにたまたまアナタがいた。ただ、それだけのことだよ。」 口から出任せの嘘だった。 多分、他の女が同じような目に遭っていても、俺は手を出さなかった。 相手が、この人だったから……。 「それ……だけ?」 「もしかして、俺がアナタに脈があるとでも思っていた?」 「お、思うわけないじゃん!! 馬鹿にするなっつーの!!」 そう勢いよく言い返すや否や、彼女から強烈なビンタを一発喰らった。 .
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