22903人が本棚に入れています
本棚に追加
.
しかし、ふたりきりになるとすぐ、さっきの俺の際どい発言に対する非難が始まった。
取引先の担当者との顔合わせに向かう、途中の廊下にて。
「……湿布、剥がしたんですか?」
「まあ……クライアントと会うから、これくらいはね。」
「それにしても、人を獣扱いしないで下さい。」
「獣だろ。あんなに積極的な女、久しぶりに見たわ。」
「なっ……!?」
「恥ずかしがる奥手な女の子も可愛いけど、俺はあなたみたいなタイプ嫌いじゃないよ。
でもまさか、この橘係長がねぇ……脱いだらあんなに凄いことになるなんて……」
「よ、余計なことは言わないでください!!」
ああ……俺って、もしかして生粋のS人間なのかもしれない。
必死になる彼女の姿に、悦びを感じてしまうなんて。
するとそこに、ひとりで大騒ぎしている彼女を宥める声が聞こえてきた。
「ん、何を騒いでいるんだ?」
「野木部長! 聞いてくださいよ、葉山課長が……」
野木部長に助けを求めたようだが、会話の内容が内容なだけに、言えるはずもない。
途中まで出かかった言葉を飲み込むように、彼女は唇をぐっと噛みしめた。
.
最初のコメントを投稿しよう!