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「俺を餌にしないで誘えばいいじゃん。食事を餌にした方が、喜んで飛びついてくると思うよ。」
俺のアドバイスに、まるで恋する女子高生のような、モジモジした素振りを見せてくる。
中性的な男性ならともかく、村田さんは体格の良いスポーツマンタイプの人だから、正直キモくて仕方がない。
「……そんなんだから、37歳にもなって独身なんですよ。」
「歳は関係ねーよ! それに俺の気持ちは永遠の二十歳だ。」
「本当の二十歳の若者は、そんな台詞は言わないよ。」
そんな屁理屈を言ったって、今の村田さんには無駄だ。
完全に橘さんに見惚れていたから。
この展開……もしかして、危なくないか?
彼女に新しい男ができることは大歓迎だ。
村田さんは変わり者だが、凄く良い人だし、恋人をとても大切にするタイプだと思う……が。
「でもさ、正直言うと……あの人はやめといた方がいいと思う。」
それは、たった一度とは言えど、俺が既に彼女と関係を持ってしまったから。
それを知ったら、村田さんは彼女を幻滅してしまうかもしれない。
俺はどう思われても構わないけれど、彼女が悪く思われるのは本望ではない。
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