忘れ得ぬ約束

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***** 食事を終えて向かったのは、いつもと同じ場所。 何の因果か、同じ部屋しか空いていなかったことに、俺と彼女は目配せをしながら小さく笑い合った。 エレベーターに乗りながら、隣にいる彼女にふと問いかける。 「……もしかして、俺の昔のこと……村田さんから訊いたの?」 「少しだけ……です。忘れられない大切な人がいるって。」 そう言って、彼女は先にエレベーターを降りた。 流石に3度目となると、部屋に向かう足取りに迷いはない。 ふたりきりになるとすぐに、彼女を強く抱きしめた。 「……早く、寂しさを埋めてよ。」 そう耳元で囁くと、彼女はその抱擁に応えてくれた。 ぎこちないキスを繰り返し、そのまま勢いでベッドへと倒れ込む。 すると、彼女は遠慮がちにこっちを見てきた。 「あの……」 「ん?」 「シャワー、浴びませんか……?」 「……そうだね。先、行っておいでよ。」 俺の言葉に、彼女は足早に浴室へと向かった。 一人残された空間で天井を仰ぎながら、ぼんやりと物思いにふけた。 こんなことしたって、最後は虚しさが残るだけなのに……。 欲しいものはもう、手に入らないというのに。 .
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