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映画が始まると、開始10分でハルは寝てしまっていた。
私の肩に頭を乗せて、静かに寝息を立てている。
周りに人のいない後ろの席で良かった……。
全米が泣いたというキャッチフレーズに見事に騙され、私はポップコーンを食べるのに必死だった。
あーあ、ハルの言うとおりにアクションにすれば良かった。
けれども、隣で無邪気に眠る彼の姿を見られたから、まあいいか……。
映画が終わると、寝不足が解消されたのか、彼は軽い足取りで歩き始める。
「あ、ハル! アイス食べたい。」
「……また食うの? ポップコーンも1人で食べたのに。」
呆れながらも、彼は近くの店へと向かう。
そして、ふたり分のアイスを買ってくれた。
「春ちゃんは、チョコチップとバニラのミックス。」
「ありがとう! いただきまーす。」
そう言って、気分上々でアイスを頬張ろうとすると、後ろから何かがぶつかってきた。
危うく前方にバランスを崩しそうになるほどの勢いで。
え……何!?
そう思って振り返ると、足元にいたのは小さな女の子だった。
涙目になりながら、私をじっと見上げている。
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