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重なり合う告白
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良く晴れた日曜日の昼過ぎ。
家電を買うなら秋葉原しかないだろうと、連れ出された私。
視界に入るのは、悩ましげにパソコンを見定めている王子の姿。
あまりに種類が多すぎて、選ぶのにも一苦労している様子。
「なぁ……春。」
「ん?」
「シープってなんだ?」
シープ……? 羊?
しかしこの状況で、彼が私に羊のことを問いかけるなんて変だ。
そう思いながら、彼が見つめる先に視線を合わせると、そこにはパソコンの機能を細かに説明しているPOPが貼られている。
「……もしかして、CPUのこと?」
「おう。」
「中途半端にローマ字読みしてるんじゃないわよ! いい? CPUっていうのは……」
シープの謎が解けたところで、私もそこまでパソコンに詳しいわけではないけれど、自分の持ちうる知識を全て活用して説明をする。
すると彼は、ああ、そういうことか……、と言わんばかりに納得した表情を浮かべた。
本当、昔から……馬鹿なやつだよなぁ。
彼のこういうところ、どうも憎めない。
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