年下上司の表裏

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年下上司の表裏

. 突然やってきた年下上司。 世間的に女子受け良好間違いなしの、将来有望な好物件。 年の割に落ち着いた雰囲気で、その優しい笑顔は文句なしにイケメンで。 もし仮に私が20代半ばだったとして、特定の彼氏もおらずに仕事を生きがいとしていたとしたら。 そんな彼が直属の上司になった日には、必然的に運命を感じて恋に落ちていたに違いない。 女というものは、偶然という名のロマンティックな響きに弱い生き物だから。 「おはようございます、橘係長。」 けれども私はもう、運命なんて信じて突き進めるほど若くもなければ、恋愛にそこまで時間を費やしている余裕もない。 それに目の前にいるこの男は、私に最悪の印象をもたらしたのだから。 「……おはようございます。葉山……課長。」 出社時間、エントランスで会った彼は、爽やかな笑顔をしながら話しかけてくる。 その笑顔に胡散臭さを感じてしまったのは、鮮明に頭の中に残る一昨日の記憶のせい。 誰もが囚われてしまいそうな笑顔の裏に隠されたのは、悪魔の微笑。 会ったその日に、偶然会った女の唇を、簡単に奪ってしまうようなそんな軽薄な男に ――― この心は、絶対に揺れたりはしない。 そう、信じていたのに。 .
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