はじめての涙

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はじめての涙

. 年末年始は、いつも千葉の実家に帰ることにしている。 特に今年は連休もお盆も忙しく、約1年ぶりの帰省となった。 都会からは少し離れた房総半島。 海の近くの小さな町だ。 「春おねーちゃん。お帰りなさいー!」 玄関に入るや否や、嬉しそうに駆け寄ってくれたのは5歳になる姪っ子。 姉の話だと、私が帰ってくるのが待ち遠しかったとか……。 「菫……少し見ない間に、大きくなったねぇ。」 「うん! ピーマン、ちゃんと食べてるから!」 「そっかぁ、偉いね。」 そう言いながら、小さな頭を撫でてあげる。 人には意外だと言われるが、子供の相手をするのは昔から好きなのだ。 特に菫のことは、我が子のように可愛がっている。 菫と手を繋いで一緒にキッチンへ向かうと、そこにはエプロン姿の母がいた。 「ただいま……帰ったよ。」 「あら、早かったのね。お昼はもう食べた?」 「ううん。お腹空いたぁ……あ、唐揚げだ!」 私の大好物の、母の手作りの唐揚げ。 きっと、この日のために準備しておいてくれたのだろう。 空腹には抗えず、まだ湯気の立っている唐揚げを頬張る。 .
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