花咲く金木犀の下で

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. 「……やっぱり、ここにいた。」 「……!? ハル!?」 春の機嫌が悪い根源の登場だ。 上手くいっていないわけではない。 ただ、同じ会社で上司と部下として働いていて、家では同棲して顔を合わせて。 一緒に居る時間が必然的に多いからこそ、小さな喧嘩が増えてしまうものなのかもしれない。 ふたりの事情は、ふたりにしか分からないけれども……。 「今朝は、悪かった……ごめん。」 「……酷いよ。私の気持ち、知っていたくせに。」 深刻そうな顔つきで話を始めるふたり。 俺……ここで、立ち聞きしていいのだろうか。 しかし二人は、気にも留めない様子で話を続ける。 「あそこまで怒るって思わなかったから。」 「……怒るよ。」 「普通は怒らないって。たかが、プリンくらいで……」 彼の口から出たキーワードに、思わず目が点になった。 ぷりん……? 不倫の聞き間違いだろうか? そんな疑いの念を持ちながらも、止まることのない会話に聞き耳を立てる。 「だって、あの店のプリン……大好きなの知っているくせに。」 「知っていたけど、春ちゃんは基本的に何でも幸せそうに食べるから……。」 .
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