38人が本棚に入れています
本棚に追加
**
「パパ!
あれ、毅の車!」
路肩に停めた毅の車。
少し空けた窓からは救急車の音が入り込んでくる。
遠ざかっていく音だ。
その後ろに車を停めて、
「おまえたちはここで待ってろ。
お父さんが聞いてくる。」
コンビニの前で警察官が何かやってる。
店員に話をきたり、
道路で何かを捜しているような…
父親が車から走ってその人たちに駆け寄る。
しばらくして、
帰ってきた。
「やっぱり、毅くんがケガをしたみたいだ。
今、どの病院か聞いてもらってる。
多分、市民病院だと思うけど、
隣町かも知れないっていうから。
大丈夫。
きっと大丈夫だ。」
落ち着かせるように言うけど、
父親の声も震えてて、
麻美も母親も、
余計に心配になってしまう…
「お願い…
毅…?
無事でいて。」
手を合わせて祈る。
犯人なんかどうでもよかった。
毅が傍にいてくれるだけで良かったのに。
最初のコメントを投稿しよう!