第1話

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「き、気持ち悪いって!! 大体ねぇ、自分のキーボードでしょ!最初から自分で掃除しなさいよ」 この妙に腹立たしい男の名前は、戸田遼(とだりょう)。 会長が神山さんの代わりにと本社から異動させた。 温厚な性格の神山さんと違って、この男は年下のくせに何かと言えば私に対してだけは見下した物の言い方をする。 はっきり言えば生意気な性格。 ただ、仕事はデキる。それに顔は…… 「なにジロジロ見てんだ」 「……別に」 ――まあまあね。 私の勤める会社は大きく分けて2つの事業を展開してる。 本社と呼ばれる『ラ フルール』はコスメを中心に、その息子が経営する『パルファン ドゥ ラ フルール』では香水を中心に販売をしている。 両方の社名に入る『フルール』は、フランス語で「花」を意味する。 大学を卒業してすぐにこの会社に入社して、あっという間にもうすぐ6年目。周りの環境は色々と変わってしまった。それは良い意味でも、悪い意味でもだ。
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