第一節 闇夜の匂い

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「ん、待て」  町を駆ける三人組の内一人が残りの二人の足を止める。 「どうした一色」 「さっきの裏路地」  着物姿の男、一色が来た道を振り返る。 「女の匂いがしたんだよなぁ…それもかなりいい」  ニヤリと頬が緩む。  そんな一色の様子を見て高辻は首を横に振る。 「なわけないだろ。人気なんてなかった」 「いや?確かに匂いはあった」  一色の含み笑いに二人は険しい表情になる。 「もし本当ならまずいな。どうする、高辻さん」 「蘆名の兵もうろついている。さっさと済ませる」  一色は満足げにもと来た道を駆け出す。
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