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逃げるように立ち上がろうとする波風を次なる刺客がたちはだかる。
「とか言って逃げるんだろ」
鷹司が睨みをきかせるように襖の前であぐらをかき腰を下ろす。
「別にそういうわけじゃ…」
困り果てていると、不意に越智の高笑いが耳を伝い波風は何気なく視線をそちらに向ける。
するとぱちりと目が合い、越智がすかさず声をかける。
「おい!なゆ!お前もやろうぜ!」
右腕をぶんぶんと振り、こまねきする様子に首を傾げる波風。
「お、いいねー!こいよ、なゆー!」
今度は赤池の声がかかる。
二人ともかなり上機嫌なのか口を開く度にげらげらと笑っている。
その中心には浦上もいる。
「あれ、高辻がいねぇな」
ふと鷹司がキョロキョロと辺りを見渡す。
いつもであれば馬鹿騒ぎをする浦上を止める役として高辻がいるのだが、その姿はこの大広間にはない。
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