第三節 戦渦の華

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「えー、それでは!今宵も開催したいと思います!」  浦上が酒坪を掲げ宣言すると周りにいた男共は歓喜をあげる。  その中には波風の姿もあり、一人だけ頬をひきつらせている。 「今日こそは勝ってやる~」 「やめとけ、どうせ一番に脱落だよ」 「あの、本当にやるんですか?」 「ったりめーよ!」  はぁ、と波風はため息をもらし、そこら中に転がる酒坪をみてげんなりとする。  どうやら今から酒飲み対決が始まるようだ。 「では、諸君。武運を祈る。始め~!」  浦上のかけ声で男共は一斉に喉に酒を通す。  越智も待ってましたと言わんばかりにぐいぐい飲み干していく。  しかし既に限界に近い浦上と越智。  最早いつリタイアしてもおかしくない状況。  そんな二人を心配そうに見守りつつ波風はゆっくり確実に酒坪を空にしていく。  その周りではばたばたと酔いつぶれる男たち。
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