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不覚にも昨晩、私は眠気に襲われここで一睡してしまったようだ。
しかもよりによって浅井さんに見られるとは…。
周りはまだ豪快ないびきをかく閃仁軍の男共の姿がゴロゴロ転がっている。
ふと、視線が開かれた襖の向こう側に向けられる。
そこから眩い光りが差し込んでいることに気づき、目を細めた。
浅井さんもそれに気づいたようで視線を私から外し外を見やる。
「ちょうど日の出ですね」
「はい…」
気の抜けた声に私はハッとする。
「わ、私!銭湯行ってきます」
サッとその場に立ち上がり私は大広間を出ようと襖に向かって一歩踏み出す。
しかしそれを簡単に許してくれるはずもなく、
「ダメですよ。なゆさん一人でここから出るのは高辻さんの許しでも出ない限り俺が許しません。それに、この時間はまだやってないですよ」
珍しく眉を寄せ怒った風に言ったかと思うと、瞬時、寄せた眉をとき柔らかな声音が浅井さんの口からこぼれる。
私は言われて、それもそうだと簡単に納得してしまう。
しかしここでこの人たちとなれ合うのだけはしゃくに障る。
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