76人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうかしたかよ」
ぼんやりと考えていると、不意に隣から無愛想な声が私にかけられる。
箸を止め、横目で私を見てたずねるのは鷹司。
「いえ、何でも」
そう、別に対したことではない。
私が気にするようなことではないのだ。
私は自分にそう言い聞かせ、食事を進める。
そんな私を不思議そうに見つめる鷹司の視線に一瞬戸惑ったが、そんなことで一々気にしてなんかいられない。
私は私の目的を果たさなきゃ。
ここで変に情を移されても困る。
あくまでここに住みつく気はないし深入りして出られなくなっても困る。
そんな余裕、どこにもないのだから。
私は決意を改めて固め、一人黙々と食事を進める高辻に向き直った。
最初のコメントを投稿しよう!