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屋根から屋根へ移り、やがて人影は下へと、地面へ降りた。
そして辺りを確かめ駆け出す。
繁華街に出た人影は明かりの灯った行灯のないことを都合に堂々と道の真ん中を歩く。
かなりの距離を来たのだ。
それに気配が気づかれたわけではない。
人影は心を落ち着かせ夜道を歩く。
すると、
「こんな夜更けにおなご一人とは危ないな」
不意に頭上から声が降ってきた。
「!?」
反射的に人影は上から舞い降りた男と距離をとる。
「………」
腰の柄に手を添えると男は不敵にも笑う。
「よせ。私はそのような気はない…ってあれ?」
男は人影の形(なり)をみて首を傾げた。
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