第六節 血族

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 両者間合いを詰めようとした刹那───  頭上から緩やかな声が降ってくる。 「何してやがる。落ち着けよ、お前たち」  ぴたり。  その声に謎の男たちは二人して動きを止めた。  突然の登場人物に波風と鷹司も警戒心を働かせ静止する。  そんな中、越智がぐったりと起きあがった。  高辻に止血をしてもらい、血は止まったものの痛みは引かない、当然だ。  苦い顔で舞い降りた男を見やる。  着物姿の男は闇夜の中、他の男どもには目もくれず、ただ一人を見つめる。  そして艶っぽい声音で、 「久しぶりだな、嬢ちゃん」  波風を見やり、微笑んだ。  声をかけられた波風をその場にいる者の全ての視線が注がれる。  波風は、波風の瞳は酷く揺らいでいた。  “嬢ちゃん”  その呼び方で身体が震えだした。 「見ない内に色っぽくなったな」  しかし波風は相手が誰なのか分からない。  ただ、遠い昔に会ったことがあるような感覚はある。  高辻が着物姿の男を睨み、問いかける。 「貴様等は何者だ」
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