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裏路地を怪しく進んでいた男の足取りが重くなると、それを付けていた人影は足を止める。
きょろきょろと辺りを見渡す男をじろりと見つめる人影の赤くも茶色い瞳が光る。
(…こんな所に、一体何の用が…?)
眉を潜めると意を決したのか、人影は足に力を入れ、前のめりに重体を寄せた。
襲うつもりだ。
羽織った上着の着物の懐から刃物がちらつく。
ダッ!
人影が男目掛けて駆け出す。
───刹那、
「動くな!」
人気のない路地裏に怒声が響く。
そして人影の動きをも止めた。
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