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その言葉にゆらりと揺れた
奈緒の瞳。
「…お前の苦しみは…
全部俺が食ってやる」
「……っ……」
「今までも…これからも…
ひとつ残さず食ってやるから
…ずっと俺に溺れてろ」
はらはらとこぼれ落ちる
光の雫を指先ですくって
ペロリと舐めた。
無色透明な奈緒の心。
一滴も零さず、
唇で吸い上げる。
「琉惺の…意地悪…」
呟いた彼女の唇を
俺は無言のまま
優しく塞いだ───。
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