第1話

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 秀樹がキッチンから出てきて、 ソファーに座り一緒にコーヒーを飲んだ。  秀樹は七美が落ち着いたのを見はからって、 もう一度尋ねた。 「ビックリしたよ。 突然来るんだから。 今日はどうしたの?」  七美はこんなに恋心をつのらせて、 雨の中をびしょ濡れになったのにと、 秀樹の落ち着きが恨めしかった。  「今夜、 泊めてよ」七美は言った。 秀樹はビックリして目を見開いた。  そのまま、 七美は激しく秀樹を抱きしめた。 「今夜、 私を秀樹のものにして」と言って、 ますます強くしがみついた。  秀樹はうわずったか細い声で「エッ、 僕はよく分からないよ。 十六才なんだから。 」  「私だって十六才よ」七美は言った。 秀樹は再びか細い声で「手足がすっかり冷えちゃったみたいだね」と言った。    
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