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名もなく散ってく戦場で
生きてた幼い少年の
誰も知らないお伽噺
生まれついた時から
忌み子、鬼の子として、その身に余る罰を受けた
悲しいことは、何もないけど
夕焼け小焼け、手を引かれてさ
知らない知らない
俺はなにも知らない
叱られた後の優しさも、雨上がりの手の温もりも
ただ、どうして?どうして?どうして?どうしても寒いんだ?
死なない死なない
俺は何で死なない?
俺を殺すやつは死ぬくせに
誰も知らないお伽噺は、真っ赤な世界の真ん中で消えてった
吐き出すような暴力と怯えたの目の毎日に
あんたは突然現れたんだ
あんたも奴等と同じはずなのに何故か動けない
“とっても可愛い、鬼の子でしたね”
俺に名前は、無いと告げると
あんたは言った、ならこうしましょ?
知らない知らない、俺はなにも知らない
初めての事が多すぎて
そんな、俺にあんたはゆっくり
ただいっぱい、いっぱい、いっぱい、教えてくれたんだ
やめないやめない
あんたは何でやめない?
周りはみんな反対してるのに
暖かいひだまりのなか、いつしか
ずっとずっとずっと続くと思ってた
数年たって気がつけば再び戻った赤の世界
あんたとの約束すらも、守れず俺だけが生きている
何も護れずに生きちまう…
知らない、知らない、声が聞こえてる
“オマエニマモレルモノナドナイ”
抗う間もなくただ流されて、真っ赤な世界の真ん中で吠えていく
知らない知らない、俺はなにも知らない
過去の話すらも、その傷も
今は、今は、ただ目の前の、
この刀が届くこいつらを護ってく
知らない知らない
あの耳鳴りは……
あいつらの声にかきけされて消えてった
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