その後の話

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その後の話

特に面白くもない、その後の話。 北京に行って劇的に何が変わったのかというわけでもなく。 私はだらだらと日常に飲み込まれていった。 それでも、時折思い出す 北京の日々を。 中華街に行って屋台で食べ歩く。 懐かしい香りがする。 それでも、店員が日本語を話している。 麻婆豆腐は花椒がきいているほうが好き ピータンも好き 臭豆腐も。 黒酢で餃子を食べるのも 何でも食べ物は挑戦した。 おこげに甘酢あんをかけるのが一番好きだった。 それを初めて食べたのは リーツィと、友達と。 翌年、リーツイは日本に短期留学で来ていたそうだ。 私は交流のある大学の学生ではなかったから。 後で共通の知り合いから聞いた。 そのあと、私が北京に行ったときにはリーツイはいなかった。 それは旅行で、晴美姐さんに会いに行っただけで。 ジンルーファンには会えた。 中国語を勉強したのに、そんなに会話のレベルが上がっていなかった。 私は大学で第二外国語で中国語を取っていた。 教科書の「你好!」から始めた 発音がいいね、と褒められたことがある。 だけどそれは、誰かの真似だ。 懐かしい人たちの。 「没事儿吗?」 大丈夫? と聞いてくれた、優しい人たち。
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