ランチ

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ドラム缶を切り取って、道端で肉饅頭を蒸している。 初めて見たときは暖を取るための焚き火なのかと思った。蓋を開けたら小さな肉まんが整列していた。 おじさんに三毛渡し、湯気ごと受け取る。 ※毛........金額の単位 黄色みを帯びた皮が薄く、もちもちしているのが気に入って毎日買った。 日本の肉まんはふわふわしていて、唇の内側にくっついたりするので、あまり好きじゃなかった。 歩きながらハフハフ食べて、講義棟へ 向かう 『シュエイン!!オハヨー』 リーツイが、走ってくる 《おはよう》 マフラーをぐるぐる巻きにしているの を指して笑われた。 《今日のお昼ご飯一緒に食べよう》 『食堂で?』 中国人学生用の食堂へ晴美姐さんに連れられて行ったことがある。安いし種類が多かった。 《違う。外で》 外って。 大学構内じゃない店って、どんなんだろ。 リーツイが一緒ならボラれたりしないよね。 『うん、行く』 《本当に?絶対絶対絶対な!》 『絶対 多すぎ』 《終わったらここで、待っててください。》 『授業終わったら』 日本語と中国語で、リーツイは繰り返した。 『真的まー?』 『真的!』 ほんとに? ほんとだよ。 笑ってリーツイは戻っていった。
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