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「じゃあ、行って来ます!」
色んな想いが込み上げて、泣きそうになりながらも、元気良く声を出して家を出た私。
家の前には高広がいて、眠そうな顔を私に向ける。
「よお、一緒に登校ってのも、今日が最後だな」
「うん……卒業だもんね」
そう挨拶を交わして、私達は学校に向かって歩き始めた。
今思えば、「カラダ探し」に巻き込まれた日々……それは、その後の一年三ヶ月なんかよりもずっと長く感じた。
いつの間に卒業する事になったのだろうと思うくらいに。
忘れかけていたあの日々を、今日になってハッキリと思い出すなんて。
そんな事を考えながら歩いていた。
通学も今日で最後。
四月からは私は短大生で、隣の県に引っ越す。
それを高広に言ったら、わざわざ私のアパートの近くに就職先を見付けて、内定までもらったようで。
私と離れたくないという想いが嬉しく思えた。
皆……無事だったらどんな人生を歩んでいたのかな。
武司は進学なんてしなさそうだし就職でしょ。
留美子もそうかな。
ショップ店員とかやりそうな気がする。
美雪は進学で、遥は貧乏になったから就職……。
生きてさえいれば、皆で今日の日を笑って迎えられたのかな。
そう考えると無性に寂しくなった。
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