最終日

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そして……卒業式が始まった。 三年間の思い出が、この式に凝縮されているかのように思い出されて、至る所から啜り泣きが聞こえる。 かく言う私も涙を堪えきれずに 、ハンカチはもうびしょ濡れ。 校長先生や来賓の祝辞で若干テンションが下がるけれど、在校生の送辞や、卒業生の答辞でまた涙する。 歌も、音楽も、私の感情を揺さぶって、涙なしにはこの空間にはいられない。 思えば……色々あったな。 その中でも思い出すのは、やっぱりいなくなった皆の事。 留美子がいたら……遥がいたら。 同じように泣いていたのかな。 美雪と翔太はどうなったかな。 悲しい時に、さらに悲しくなるような事を考えてしまうのはなぜだろう。 私と同じように、皆の事を覚えている小川君も、そんな事を考えているのかな。 あの日から、一度もその話をした事はない。 話してしまうと、皆が消えてしまった事を認目てしまいそうだったから。 確かにいなくなった。 だけど私はこう思う。 遥が言っていた、世界は人の想いの中に生まれる。 私や小川君が忘れていないなら、きっとその想いの世界の中で皆は生きているんだと。 もしかすると、今の私も、誰かの想いで生かされているのかもしれないから。
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