丘の上の茶房

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海は穏やかだった。 碧の海は崖を繰り返し打つ。 その音は、優しかった。 水平線に目をやる。 この先は日本海だろうか。 記憶の中の日本海はもっと厳しい、 不思議なものだ。 出発の日の午前も、会社に寄って来た。 飛行機でうたた寝したら漢字の国に着いていた。 日本人以外と会話していないので外国にいるという実感はない。 ただ、こんなふうに海を眺めるなんて何年ぶりだろうか。 旅が非日常の極みだとすれば、これこそ旅だ。
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