美しき君の魔法は砂糖のように

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 春の暖かな日差しで起きた朝、シズクはマテリアに入学します。  昨晩は、マテリアでの学園生活を夢見ていました。友達と笑い合い、校舎を駆けて、巡る月日の中で様々な行事を楽しんで…。  胸の高鳴りが抑えきれずに、何度も目を覚ましては忘れ物がないかカバンを開け閉めして、学園への交通手段である大事な箒のメンテナンスをひたすら繰り返しました。そしてまたベッドに横になり、学園でのこれからを思い切り妄想して、胸を高鳴らせてはまた目を覚ましました。 「シズクにはどんな師匠ができるかしらね。」  お母さんがそんな事を言っていました。  お母さんはマテリアの卒業生で、私が明日から通うマテリアで青春時代を過ごした先輩だったのです。  マテリアには『師弟制度』というものがあります。由緒あるマテリアの伝統や規則、魔法をより深く浸透させるために、学園が創設されたと同時に出来た制度なのです。  上級生1人につき1人弟子をつくり、そこから生まれる深い絆を約束して契りを交わします。上級生は師として、下級生は弟子として互いを高めあえる、マテリアだけの特別な制度です。  私にはどんな師匠がつくのかしら。  私は特別得意な魔法がないから、私の特別を見つけて貰えればいいな。  何の変哲もない私のことをかわいがってくれる、それだけでいいな。  これから現れる師匠のことを考えていたら、いつの間にか眠っていました。 4月1日 シズク
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