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『わあ』
突然、小さな声を発したかと思うと、男の子はゆっくりとその棚板の上に立ち上がる。
ちょっと、―――。
「あっ危ないから動かないで」
そんな濡れたところにでも立って滑りでもしたら大変だ。
「僕、一人なの?? ママとか、―― 」
『ママ??』
「そう、ママ」
『……』
ばっちりと目が合ったまま瞬きもせずに
『ママ……』
じーっと首を傾げたまま見入られて。
どうしよう……。
やっぱりママとはぐれちゃったんじゃない??
「ねえ、私がそっちに行くから待っ……」
―――――!!
言い終わるより先に、男の子の姿が視界から消えた。
……え、嘘、――。
もしかして、……落ちた??
私が喋りかけたせいだ。
びっくりして棚板から滑り落ちたんだ。
た、助けなきゃっ、―――!!
慌てて駆け出そうとした、刹那
「……いっ!!」
男の子は私のすぐ目の前に姿を見せた。
まるでひゅんっと瞬間移動するみたいに。
そのスピード、あまりにも速すぎて
「わ、わっ――!!」
思わずバランスを崩して尻餅をつきそうになってしまう。
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