274人が本棚に入れています
本棚に追加
/862ページ
びしょ濡れのシャツと借りた体操服とジャージを洗濯機に入れ、スタートボタンを押した。
そのまま制服を脱いでシャワーを浴びる。熱いお湯が冷え切った身体に心地いい。
時間を稼ぐようにゆっくりと着替えてからリビングへと戻った。
「はい」
佳奈子さんは温かいココアを用意してくれていた。
「……ありがとう」
「風邪ひかないといいわね。寒かったでしょう」
―――――。
リビングで向き合いながら……会話が続かない。
「……メールしたのに」
「メール?」
「迎えに来てって……」
佳奈子さんは驚いた表情を見せ、携帯を手繰り寄せた。
「うーん。きてないよ?」
「送ったもん、ちゃんと!!」
むきになって訴える私に
「ゲリラ豪雨で、携帯が通じにくいってさっきニュースでやってたわ。
今度はちゃんと迎えにいくからね。何かあったらまたメールして」
何だか嬉しそうな顔をして笑顔を見せる。
その時、―――。
ピピピピピッ。
佳奈子さんの携帯が鳴った。
――――!!
「あ……。美琴ちゃんのメール、今、届いたっ」
「え、―――」
もう、タイミング、悪いな。
居心地の悪さを感じてソファに移動すると
「制服、乾かさなきゃね」
それを察してか、佳奈子さんはリビングから出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!