雨の余韻

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夜中に何度か佳奈子さんが様子を見に来てくれて、その都度寝た振りをしながらやり過ごしていたけれど。 どうやらいつの間にか本当に寝てしまったようだ。 コンコン、――。 目覚まし時計のアラームを消し布団の中でうだうだしていると、控えめにドアをノックする音が聞こえた。 そっと開けられたドアの向こう。 私が起きていることを確認すると 「おはよう、美琴ちゃん」 佳奈子さんが部屋に入ってくる。 「学校、どうしよっか?」 そっと額に手を当てながら 「熱はもうないみたいだけどね」 ゆっくりと私の目線の高さに合わせてしゃがみ込む。 「大丈夫、――。だから学校には行く」 元々、熱なんてないんだもん。 学校に行ってる方がずっと気楽。家で佳奈子さんと二人っきりの方が逆に気を使ってしまうよ。 「美琴、風邪ひいたんだって?? 大丈夫なのか?」 昨日、遅くに帰ってきたパパ。 ドアの前に立ち、佳奈子さんの背後から心配そうに顔を覗かせた。 「大事を取ってゆっくりしたら?」 「それがいい。今日は学校を休めよ」 「……っ」 小学生じゃないんだから自分の体調くらい自分でわかってるってば。 「……大丈夫。学校行くって言ってるじゃん」 「でも無理しない方が……」 「そうだぞ。無理して後からこじらせた方が大変なの、わかってるだろ」 「……わかってるよ」 わかってるけど、――。
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