雨の余韻

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「みことちゃんのママ、こないね。みことちゃんはどうしてグランパとパパなの?」 「しーっ。美琴ちゃんにはママがいないのよ」 「ママがいないの?? どうして??」 「美琴ちゃんのママは死んじゃったからよ。だからもうママには会えないの」 「ママにあえないの?? えーっ、かわいそう」 「ね、可哀そうでしょ。だからもう美琴ちゃんにママのおはなしをしちゃだめよ」 ―――――!! 私にだって、ママはいるもん。 お空のお星さまになって、いつも私を見てくれている。 私はちっとも可哀そうなんかじゃない。 でも、―――。 ママに、会いたい……。 どうしようもなくママに会いたいと思った。 ママの声が、聞きたかった。 私は幼すぎたんだと思う。 本当の理由なんて、誰にも言えなかった。 入院と退院を繰り返す日々の中、突然声が出なくなってしまったのだ。 「美琴ちゃんの喘息は、もちろんアレルギー性体質だということもありますが、声が出なくなったのは心因的なものが大きいと思われます。 一度、カウンセリングを受けてみませんか?」 そう、担当医に言われたパパは、藁にもすがる思いで紹介された同じ病院内にある心療内科のドアを叩いたのだ。 病室から心療内科までの廊下をいつも手を繋いで歩いてくれたのは、佳奈子さん。 お話しながら、笑いながら、励ましてくれながら。
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