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この雨の中を走って拝殿まで行く??
……ああ、また濡れるかも。
でも、ここにいたって逃げ場がないよね??
「よしっ」
気持ちを奮い立たせるかのように声を発しながら、私は辺りを見回した。
三秒かかるか、かからないか……。
だったら、―― うんっ、行こう!!
いち、にの、さんっ!!
斜めに掛けていたスクールバッグを頭に掲げると、雨の中、一気に拝殿に向かって駆け出した。
「すごいんだけど……」
さらに激しさを増した雨の飛沫で、目の前の景色ですらぼやけて霞んで見える。
思わず吐いた溜め息も、降りしきる音にかき消されて。
白い湯気が浮かんでは雨の中に溶けていく。
濡れて雫が垂れるスクールバッグを胸に抱えながら
「帰れるのかな……」
自分の耳にも届かない声で独りごちた。
「傘、持っていってね」
佳奈子さんの、柔らかく丸みのある声が脳裏に過る。
傘、―― 持ってたって意味ないじゃん。
こんな雨じゃあ、どっちにしたってずぶ濡れになってるに決まってる。
確認しなかったのは、私。
佳奈子さんのせいじゃないのに、何かと理由をつけては蔑ろにしようとする自分がほとほと嫌になる。
うっすらと鳥肌の立つ腕を両手で抱え込み、擦りながら空を見上げた、その刹那。
突然、パッと閃光したかと思うと
ドカンッ、――!!
地面が割れるような爆音が辺り一面に轟いた。
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